始まり

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ふわふわとした笑顔を浮かべる女性。 それが彼女を見た時の印象だった。 変わらずその笑顔を浮かべている訳だけれども。 不思議と、その事実に引っ掛かりを覚えてしまう。 今まで関わってきた女の子達にも、こういった顔をする子達は数多くいた。 ふわふわ、ゆるゆる。 そんな風に例えればいいんだろうか。 そしてそれは、見た目だけじゃなくてもちろん中身も。 言い換えれば、とても素直とでも言えばいいのかな。 ともかく。 そんな先入観のせいなのか、今日奥さんになった彼女に違和感を感じてしまう。 こんな結婚は本人だって望んではいないだろう。 それなのに、全く動揺すらせずにこうやって僕の隣で国民の前に立っているんだ。 いや、もしかしたら僕が気付いてないだけかもしれない。 僕は彼女の事を何も知らない訳なんだから。 まあ、だからと言って知りたいとも思う訳でもない。 今まで通り、流れに任せればいい。 そう簡単に思ってしまった僕は、自分を後で呪うことになる。
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