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トモヤはビールが苦手だった。
汗をかいたコップ、黄金色に輝く液体、舞い上がる小さな気泡、ふわふわの白い泡……。
それらに憧れ、脳が、目が、心が、喉が、それらを渇望し……。
口に入れた瞬間、――後悔した。
ビールはいがいがと口の中を突き刺すと、がりがりと喉を削りながら腹へと流れ落ち、奥から苦味が舞い戻ってくる。
トモヤはその全てが、苦手だった。そのくせ、ビールをおいしそうに飲める人が、羨ましくて堪らなかった。
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