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1.その想いが、嬉しくて。
風呂から出た瞬間、外から帰ってきたトモヤと目が合った。玄関のドアを閉めるトモヤの手には、ビニール袋がぶら下がっていた。
「あれ? 買いもん?」
髪をタオルで拭きながら聞いた。俺は上半身、裸で、スウェットのパンツは、腰骨が見えるくらい、だらしなくずり下がってる。
「うん。ただいま」
トモヤの視線が、一瞬だけ俺の顔から下へ落ちたような気がした。
そして、きゅっと変な形で閉じられた唇の端が、違和感満々で上を向いた。
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