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「歩君、お稽古の時間ですよ~ 」
力強く背中をポンと叩いてくるとビクッと身体が反応してしまい、心拍数が急上昇した。
「僕は、昨日試験勉強していて眠くて…… 」
「うるせえ。とっとと行くぞ」
僕の肩を竹本君達に掴まれながら例の場所へ連れて行こうとすると
「キャハハ、ヒロキ。またその陰キャと遊ぶの? 」
「こいつを鍛えてやらないとな。カナも来いよ」
「ウケるんだけど。捨て猫みたく怯えているよ」
ウェーブをかけた茶髪の女子は宮本佳奈。隣のクラスにいる竹本の彼女でもあって、素行の悪い女子生徒だ。コイツは見た目が可愛いけどかなりの小悪魔。こうして周りの蔑んだ目に見送られながら屋上へと連れていかれてしまった。
「あ、歩君…… ねえ、何も言わないの? 」
「ミユキちゃん。竹本君達には関わらない方が良いわよ」
ミユキちゃんは僕の後ろ姿を心配そうに見つめていたが同級生に宥められてしまう。
この時ミユキちゃんもどうせ皆と同じく、見て見ぬふりをされると決めつけていた。
そしてこの日も屋上で僕は竹本君から、ボクシングのスパークリングだと称して何度も肩や背中に強烈なパンチを食らわされていた。僕は蹲りながら懇願をした。
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