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「もう止めてよ」
「オラ! 立てよ。あの転校生が来てからニタニタ笑いやがって。気持ちわりいんだよ」
「きゃははは、ウケるんだけど。ヒロキ、顔や止めな。バレると怖いからさ」
「バレねえぜ。どうせほかの奴らはこんなやつ助けねえし」
俯せになった僕の頭をグリグリと踏みつけてきた。悔しい、痛い。でもどうすることもできずに地面を涙で濡らすことしかできない。
すると
「先生! あそこです」
「コラ! 貴様ら何やっている」
「ゲ? 生徒指導の桜井だ」
角刈りの体育教師は竹刀を振り回して竹本君の背中を何度も叩いた。その後数人の男性教師が駆け付け、ふてくされる竹本君達を連れて行った。
「歩君、大丈夫? 」
俯せになった僕にピンクのハンカチをそっと差し出して笑顔で答えるミユキちゃん。どうやらあの後、すぐに職員室へ向かって助けを呼んでくれたそうだ。
ゆっくり起き上がって恥も知らず彼女のハンカチで涙と鼻水を何度も拭った。僕はしばらく鼻声交じりだった
「ありがどう…… どうして助けてくれたの? 」
こんな僕を助けるなんて何の得もない。だけど彼女は笑顔で答えてくれた。
「だって、幼稚園の時、歩君。私がイジメられていた時、助けてくれたでしょ? 歩君は私のヒーローなんだよ」
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