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川沿いを歩く二人の少女の影。
一人は自転車を押しながら、一人は手で自分を扇ぎながら、おしゃべりをしながら歩いている。
クシャッ
何か、足に違和感を覚えた。
少女は手で仰ぐのを辞め、足元を見る。
「うおっ!」
「なに? どうしたの?」
もう一人の少女も自転車を押すのを辞める。
「蝉の死骸、踏んじゃった……」
「うえっ。キモチワルっ」
少女は身震いしながら、足をばたばたとさせる。
「感触がまだ残ってるー!」
「最近、蝉の鳴き声やんだよね」
「まーじ、うるさかった。やっと鳴き声から解放される」
二人は再び歩き始めた。
空は茜色に染まっている。
もうすぐ、秋がやってくる。
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