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「だからさぁ、お盆休みの間、どうせお前がヒマしてると思って、誘ってやったわけ」
電話越しに響く丹野の声を、耳に聞くのは二年ぶりだ。
「なんでヒマって決めつけるのよ?」
「え? ヒマだろ、どうせ。忙しぶるなよ」
「私だって、お盆の予定ぐらいありますから」
「へぇ、じゃあ、いつがヒマ? いつだったら俺と飲みに行ける?」
こいつ、そんなに私と飲みたいの?
それともよっぽど、あんたがヒマなわけ?
だけど丹野とは、二年間会っていなかったのが嘘のように、自然に会話している。
丹野の声を聞いていると、毎日教室で会っていた、中学生の頃に戻ったような気持ちになるから。
「しょうがないなぁ。そんなに私と飲みたいなら、付き合ってあげるよ」
私が言ったら、電話の向こうから、懐かしい丹野の笑い声が聞こえてきた。
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