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「いや、適当にウソついてもバレるんで。全部正直に話しましたよ。出版社の名前も出して」
「……えっ? それで取材オッケー出たの?」
いやはや、本当に太っ腹な学校だ。電話で応対して下さった教職員の人、あっぱれだわ。
「まあ、さすがに『おたくの先生と生徒さんのカップルの取材』とは言えなかったんで、『生徒さんからお手紙を頂いたので』とだけ。――そしたら、藤谷先生ご本人が『取材を受けたい』と」
「ほえー……」
私にはそれ以上のコメントが出てこない。
その先生、生徒と付き合っていることに対してどんな気持ちでいるんだろう? 多少なりとも罪の意識というか、後ろめたい気持ちがあるなら、こんなにホイホイ「取材受けます」なんて言えないんじゃないだろうか。
この教師、何かあるかも。――私は別にミステリー作家でも何でもないけれど、私の第六感がビビッと働いた。
――というわけで、私は「実話に基づくフィクション」なる未知のジャンルを執筆すべく、手紙をくれた武下紗希ちゃんを取材することになったのだった。
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