先生と居候

1/1
前へ
/1ページ
次へ
「先生、こんな所でなにしてるんですか。」 「やぁ、タイトウ君」 「明日の朝が締切なんですよね。終わったんですか?」 「桜が私を呼んでいてね。来てみればこんなに立派に…」 「終わってないんですよね。なら戻りますよ。電話越しですけど小泉さん、絶対泣いてましたよ。さぁ行きますよ!」 先生、小椋那月は割と有名な小説家だ。そして俺はそんな先生の所に居候させてもらっている。のんびりでマイペースな先生に編集者は大変困っているようで、現担当編集の小泉さんから俺は、先生の尻たたきを頼まれている。 「タイトウ君。先生は無性に大判焼きが食べたい。それ食べたら頑張るから買ってきてくれないか?」 「はいはい、終わったご褒美にあげますから。」 「そんなぁー。」 「今買いに行ったら絶対仕事しないだろう。」 「はぁー。仕方ない。じゃあこれで我慢するから買ってきてね。」 いきなり先生に抱き寄せられ、唇と唇が重なり合う。舌に生暖かいものが絡み合い、クチュクチュと音を立てる。 「よし、充電完了。」 棒立ちになった俺を置いて、先生は仕事部屋へと戻っていく。 こうなったら俺の出番は終わりだ。 「全く、いきなりはやめろって言ってるのに…はぁ、大判焼き、買いに行くか。」 ※※※ 「あぁ、肩いった。」 時計をみると深夜2時。随分集中していたらしい。データは送ったし、締切には間に合ったみたいだ。 「よし。」と腰をあげ、タイトウ君の部屋に向かう。寝ているかもしれないけど、これだけ頑張ったのだから、ご褒美をもらっても罰はあたらないだろう。寝顔で癒されてから床につくとしよう。よく考えてみれば3日程色々考えていたから寝不足だ。どうせならタイトウ君の隣で寝ようか。と考えながら歩いていたところ。 「あれ、先生終わったんですか。」 「タイトウ君。まだ起きてたんだね。」 後ろから声を掛けられて驚いた。 「ん、それって。」 ふとタイトウ君の持つお皿に目がいく。そこには、丸くて茶色いものが乗っていた。 「あぁ、先生が食べたいと言っていたので。いつ終わるか分からなかったので、終わったら食べれるように置いておこうかと。あ、それとも別の物を用意しましょうか。」 「いやいい。」 とタイトウ君の手を引き、寝室に連れていく。 「ちょ、先生!」 タイトウ君が何かいっているけど、とりあえず無視をしておいた。 ※※※ 「食べさせてよ。」 いきなり手を引かれ、寝室に連れてこられた。 お疲れのようだし、休んだほうがいいと言うけど、聞き入れては貰えないようだ。 言われるがまま、大判焼きを先生の口に持っていく。さっき温めたばっかだから、まだ少し温かい。 「ん、美味しい。タイトウ君も食べなよ。」 「いや俺はさっきいただ…ん。」 言葉を言い終わらないうちに口に塞がれ、一気に甘さを感じる。 「美味しいでしょ。」 「は、い。」 「でももっと甘いものが欲しいかな。」 先生の手が服の中に入ってくる。パンツ越しに触られて少し焦れったい。 いつもはだらしない先生で、俺がなんとかしなきゃと思うのだが、こういう時の先生には敵わない。俺は先生の思うがままだ。 「お風呂、入ったんだね。いい匂いがする。うん?僕、臭いかな。」 クンクンと自分の匂いをかぐ先生に笑いがこらえられないが、それでも「大丈夫ですよ。」と答える。 「そう?」 「はい。」 「じゃあこのまま楽しむとして、後で一緒にお風呂に入ろう。」 先生は満面の笑みを浮かべて、俺の服を脱がしていく。明日はお昼過ぎから授業だから、起きれるだろうかと言う心配があったが、その心配はすぐ頭の中から消えていった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加