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「先生、こんな所でなにしてるんですか。」
「やぁ、タイトウ君」
「明日の朝が締切なんですよね。終わったんですか?」
「桜が私を呼んでいてね。来てみればこんなに立派に…」
「終わってないんですよね。なら戻りますよ。電話越しですけど小泉さん、絶対泣いてましたよ。さぁ行きますよ!」
先生、小椋那月は割と有名な小説家だ。そして俺はそんな先生の所に居候させてもらっている。のんびりでマイペースな先生に編集者は大変困っているようで、現担当編集の小泉さんから俺は、先生の尻たたきを頼まれている。
「タイトウ君。先生は無性に大判焼きが食べたい。それ食べたら頑張るから買ってきてくれないか?」
「はいはい、終わったご褒美にあげますから。」
「そんなぁー。」
「今買いに行ったら絶対仕事しないだろう。」
「はぁー。仕方ない。じゃあこれで我慢するから買ってきてね。」
いきなり先生に抱き寄せられ、唇と唇が重なり合う。舌に生暖かいものが絡み合い、クチュクチュと音を立てる。
「よし、充電完了。」
棒立ちになった俺を置いて、先生は仕事部屋へと戻っていく。
こうなったら俺の出番は終わりだ。
「全く、いきなりはやめろって言ってるのに…はぁ、大判焼き、買いに行くか。」
※※※
「あぁ、肩いった。」
時計をみると深夜2時。随分集中していたらしい。データは送ったし、締切には間に合ったみたいだ。
「よし。」と腰をあげ、タイトウ君の部屋に向かう。寝ているかもしれないけど、これだけ頑張ったのだから、ご褒美をもらっても罰はあたらないだろう。寝顔で癒されてから床につくとしよう。よく考えてみれば3日程色々考えていたから寝不足だ。どうせならタイトウ君の隣で寝ようか。と考えながら歩いていたところ。
「あれ、先生終わったんですか。」
「タイトウ君。まだ起きてたんだね。」
後ろから声を掛けられて驚いた。
「ん、それって。」
ふとタイトウ君の持つお皿に目がいく。そこには、丸くて茶色いものが乗っていた。
「あぁ、先生が食べたいと言っていたので。いつ終わるか分からなかったので、終わったら食べれるように置いておこうかと。あ、それとも別の物を用意しましょうか。」
「いやいい。」
とタイトウ君の手を引き、寝室に連れていく。
「ちょ、先生!」
タイトウ君が何かいっているけど、とりあえず無視をしておいた。
※※※
「食べさせてよ。」
いきなり手を引かれ、寝室に連れてこられた。 お疲れのようだし、休んだほうがいいと言うけど、聞き入れては貰えないようだ。
言われるがまま、大判焼きを先生の口に持っていく。さっき温めたばっかだから、まだ少し温かい。
「ん、美味しい。タイトウ君も食べなよ。」
「いや俺はさっきいただ…ん。」
言葉を言い終わらないうちに口に塞がれ、一気に甘さを感じる。
「美味しいでしょ。」
「は、い。」
「でももっと甘いものが欲しいかな。」
先生の手が服の中に入ってくる。パンツ越しに触られて少し焦れったい。
いつもはだらしない先生で、俺がなんとかしなきゃと思うのだが、こういう時の先生には敵わない。俺は先生の思うがままだ。
「お風呂、入ったんだね。いい匂いがする。うん?僕、臭いかな。」
クンクンと自分の匂いをかぐ先生に笑いがこらえられないが、それでも「大丈夫ですよ。」と答える。
「そう?」
「はい。」
「じゃあこのまま楽しむとして、後で一緒にお風呂に入ろう。」
先生は満面の笑みを浮かべて、俺の服を脱がしていく。明日はお昼過ぎから授業だから、起きれるだろうかと言う心配があったが、その心配はすぐ頭の中から消えていった。
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