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「お前は何ですぐあんなに汚れんだ。俺が大変だろうが、ばかっ」
「ええ、そんなこと言わないでください。和行さんが一日一回しか拭いてくれないから汚れちゃうんです。だから逆にぃちょくちょくお願いします」
少し甘えるような声色に、肉に押し上げられた顔は相変わらず笑って見える。
「何が『逆にぃ』だ。そもそも何で俺がお前の体を拭かなきゃいけないんだよ。雑巾渡すから自分で拭けよ、自分で」
和行はデブの太ももの外側の肉をつねった。夏の暑い日に車内に置き忘れたグミの感触を思い出した。グミというかスライムというか何とも言えない感触だ。
「自分じゃ拭けないんですよ。知ってますよね、私、手が届かないこと。体の大体の部分に手が届きません。何回言わせるんですか、もう。意地悪なんだから」
ぷいっとしたデブが頬を振るわせた。先ほどつねった痛みはないようだ。
「もう、じゃねぇよ。自分のケツぐらい自分で拭きやがれ」
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