祈り

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次のバスの音が近づいて来た時、俺の声が空気を切り裂いた!   「いい加減にしてくれ!もう終わったんだ!」   罪悪感がそうさせたのか、強い口調でそう言い残すと着いたばかりのバスに乗り込み彼女の目から逃げるように1番奥の席に座った。 「もう時間がないんだ・・これ以上付き合えないんだ・・」 俺の小さくつぶやいた声を掻き消すようにバスはけたたましい音を立てながら、 まだ見ぬ新たな場所へ俺を運んで行く。   「さよなら・・」   彼女の声が聞こえた気がして振り返ると彼女は悲しそうな笑顔を浮かべながら静かに手を振っていた。
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