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父は、事故で死んだ。川で溺れる少年を助けるために橋から飛び込み、少年を助け、この世を去った。小学生の時である。
夕方。片親ということもあり、奇異の目で見られていた私に友と呼べる人はおらず、私は、父の仕事が終わる18時まで図書室で本を読ませてもらっていた。
暮れゆく空の中、本を読み思案をする最中、私は教頭先生の言葉で暗い現実に引き戻されたのだ。優しく憐れむような言葉は、明細を欠き、私は激しい目眩に襲われた。
結局、父と再開を果たすことはなく。前述の状況に至る。
父の大きな手と背中、優しい声を私は鮮明に覚えている。物心ついたとき、私は父と二人で暮らしていた。
工場で勤務をする父は、汗と機械油の匂いを作業着に染み込ませ、私をよく抱き上げた。
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