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叔父から、私が産まれたのは暑さの厳しく、そして、寒さの厳しい冬の間だと言い聞かされた。
そして、それはまるで私の人生を暗示するようだとも。
叔父は別に、意地悪を言おうとしたのではないであろう。ただ、事実が口を飛び出した。それだけである。
私には、真に父、母と呼べる人がいない。私を育ててくれた父方の叔父、叔母は私に家族と呼ぶことを良しとしなかった。従兄弟と必要以上の会話は、許されていないわけではなくても、禁忌である雰囲気があった。何より、従兄弟の二人は私を何処か毛嫌いしていた。
思春期特有の物にも思えるが、聖域とも言える家に他人が上がりこんでいるというのは、異物を飲み込んだような心持ちがあったのだろう。
叔父、叔母は他所の子供を育てるという難しい課題を、充分にこなしてくれた。衣食住も、従兄弟と分け隔てなく与えてくれた。だからこそ、私は叔父叔母に迷惑は掛けないように生活をしていた。
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