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「あっれ、此処どこだ?」
そんな気の抜けた声が、どこかのホールに響き渡る。其処は……いや、此処はどう見ても明らかに現実離れしている。
床には恐らくさっき見たであろう魔法陣。
複雑な形で、何か文字らしき物も書かれているが読み取ることができない。知らない文字だ。まあ知っていたとしてもこの混乱している状況では読み取ることすらできないだろうがな。
そんなことをやけに冷静に考えているとどこからか声が聞こえる。恐らく人間だろう。
「突然の呼び出し申し訳ありません。」
透き通るようなソプラノの音質にこんな状況ながら少し癒されてしまう。
見た目は完全に外人。知らない発音、知らない言語なのになぜか理解できる。
今まで見てきた中で10本の指に入るであろうその美貌は真っ直ぐにこちらへと向けられている。
身につけている服は俺たちとは違う高級そうな布で出来ている。純白のドレスのような鎧。というよりは所々、急所に金属が当てられている、簡易的な鎧擬だろう。
「ふっ、あ、はは。」
例えどんなバカでも、こんなにヒントを与えられればわかる。思わず声が漏れる。
さっきの魔法陣、知らない文字、知らないはずなのに理解できる言語。そして女性の言葉。ここは、異世界というやつなのだろうな。だが……何故俺らが選ばれたんだ。別の奴でも良くないか?花の高校三年生だぞおい。あ、そうだこれは夢だ夢。悪い夢でもみてんだろ。いやにリアルな夢だなーおい。俺は、俺は絶対に此の現実を認めない。
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