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硝子瓶の中を球がカランカランと音を立てる。
この硝子玉を瓶から出せないものか?
首を捻り考えていると、連れ立った人が、
「坊。びぃ玉を持っていたでしょ。」
と言う。
と売り子のオヤジが
「左様。そこに、入っているのは、びぃ玉(だま)ではなく、A玉(だま)というのよ。規格外のびぃではなく、しっかりした球(きゅう)だということなのさ。ラムネの瓶に、入る事を許された球(たま)なんだな。」
「へぇ。びぃ玉のびぃって。深く考えたことなかった。けど、A級B級のことなんだ。
へぇ?いいなぁ。この球(たま)瓶から出せないのかなぁ。」
売り子のオヤジはまたも口を挟む。
「欲しくなったんだろう。出してご覧よ。」
急いで瓶のラムネ水を飲み干して、瓶の中身を球を残して空にした。炭酸で喉が焼けるように熱くなった。
横にしてみても、瓶の口を捻ってみても、球は出てこない。
しまいに、瓶を叩き割ってしまったら出せるじゃないかと、岩縁に、瓶を上から打ち付ける真似をしながら思案していた。
すると売り子のオヤジは、慌てたように、
「坊や、無茶をしちゃいけないよ。その瓶は何度も使うように出来ているんだ。叩き割っちゃ意味がない。仕方ないな。ほ〜ら」
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