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遥が帰って来た。 俺を想って帰って来た訳じゃない事くらいは、俺でも分かる。 何もなかった様に会話するのは、みんなが母さんを大切にしているからだ。 その気持ちは、俺も同じだから学校に行く事にした。 学校の奴等に何を言われ様が、担任に何を言われ様が、気にしない。 休んでいても、テストの結果が全てで、点数が良ければ、成績が良いとみなされる。 そんな世界が俺は嫌いだ。 改めて、そう思えたのは確かで、土曜日は父さんの仕事も手伝った。 パソコンは興味があったから教わったが、どちらかと言うと、身体を動かすのが好きな方な俺。 「父さんは、どうして整備士になったの?」 そう問い掛けたのは、ずっと気になっていたから。 「俺にも分からねぇ。だが、こうやって車を弄る事に生きる意味を持ったのは確かだ」 「生きる意味?」 「あぁ」 それで終わった父さんとの会話。 だけど、俺は知っている。 父さんの信念は、揺るがないモノだと言う事を。 そんな父さんが俺は好きだ。
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