葉山涼々という男

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今起こったことを誰かに言いふらしたいわけじゃない。 けど、葉山くんに話せば、すっきりするのではないかと思った。 だんだんと気持ちが落ち着いてきて、隣を見やると優しい笑みを浮かべた葉山くんがいる。 いや、逆かもしれない、葉山くんがいたから落ち着いたのかも。 「あの、ね。」 この人なら、優しく包み込んでくれるのではないか。 誰でもいいわけじゃない、でも葉山くんの包容力ならば。 今この瞬間だけでも、楽な気持ちになりたかった。 「無理して話さなくてもいいんだよ?」 彼には、無理しているように見えたのだろうか。 「ううん、話させて」 彼の性格上、てっきり、なにも言わずに聞いてくれる物だと思っていた。 しかし、その言葉に帰ってきたの意外な言葉。 「別にいいよ、聞きたくない」 葉山くんからの拒絶だ。 ああ、そうか。 葉山くんだって、こんな重い話聞きたくないよね。 関係ない彼に甘えようとしてしまったんだ。 「ごめ……」 期待から、一気に暗い気持ちが立ち込めて、謝ろうとすると、葉山くんが言葉を被せた。 _____『ルカを差し置いて、2ヶ月も後輩と浮気してたクズの話なんて聞きたくない。』
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