初恋は実らぬもの?

7/11
前へ
/80ページ
次へ
「ハルちゃんって、瀬野さんと仲良いよね」 帰りの電車の中で、千春が少しばかり探るような目を向けて私に訊ねた。 「仲良いと言えるのかな?偶にふらりと背後に現れるからびっくりする。教育係だから気にしてくれてるのかもね」 「あ、あのね……」 秘密の話でもするかのように、千春が私の袖を少し引いて、身を寄せた。 「ん?」 「瀬野さんには気をつけた方がいいよ」 声を潜めて、千春は私を心配げに覗き込んだ。 「気をつける?」 「えっと、相原さんと辻さんに聞いたんだけど……」 そう前置きして、千春が私に告げた言葉は、少なからず私の心を波立たせるものだった。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加