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こうしてルナルナは、夜のうちに果ての海岸へ行っては、まだ死んでいない星のカケラを拾い集め、ひるまのうちにそれを蒔くようになりました。
海岸を歩いて星を探すルナルナの姿を見て、子どもたちは笑います。
空を駆けることもできず、うつくしい輝きを手にすることもなく、うすぼんやりとした光を集めるルナルナを「星拾い」と呼んで、笑うのです。
どんなにバカにされても、ルナルナは星を拾い集めることをやめませんでした。
海岸に転がっているちっぽけな光。
ひとつひとつはちいさな光でも、それがたくさん集まれば立派な光の帯になることを、ルナルナは知っているからです。
やがて、空を駆けていた星使いのひとりが畑の光に気がついて、ヤードルードに話をもちかけました。
――偉大なるヤードルード師。
――どうか、この星々をわけていただけませんか。
そうしてカゴいっぱいに持ち帰ったちいさな星を、夜空へ流しました。
星座のような形をつくらない星の集合体は、量が増えるたびに光の川となって、夜空を巡ります。
やがて、星たちのあいだを縫うように、天に川がうまれました。
ちらちらとまたたく星は、やわらかく夜空を彩ります。
ルナルナは畑に立って見上げて、ほこらしいようなきもちになりました。
そうしてますます、星を育てることに夢中になったのです。
ちいさな星を集めましょう。
おひさまの光をいただいて、おおきくおおきく育てましょう。
あなただって、輝ける。
見上げてごらん、夜空に渡るおおきな川を。
ちいさいからこそできることが、きっとある。
一等星のように道しるべにならなくとも。
星座のように、ひとびとを楽しませなくても。
それらを支える星になればよい。
畑に星を蒔きながら、ルナルナは囁きます。
星たちのあいだを歩きながら、語りかけるのです。
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