星育て

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 たくさんの光がルナルナの前を横切り、どこかへ飛んでゆきます。  星の実はちいさな輝きを放ちながら風に乗り、果ての海岸を飛び越えて、その先へ。  またたきながら、地上へ向かいます。  地上のひとびとは夜空を見上げて、おどろきました。  ――わあ、たくさんの星が流れているよ。  ――きれいだなあ。  果ての海岸から、ときおりこぼれ落ちる星は、ひとつかふたつ。  こんなにたくさんの星がいちどに流れるなんて、見たことがありませんでしたから、ひとびとはいっせいに夜空を見上げました。  このときばかりは、美しいかたちをつくる星座も、なによりも光を放っている一等星も、目に映らなくなります。  つぎつぎに降りそそぐ星たちに、ひとびとは瞳を輝かせました。  わあ、すごいなあ、きれいだなあ。  そのようすを空から眺めていたルナルナもおどろきました。  星使いたちが「役にたたない」と笑った屑星が。  あの、ちいさな光でしかない星たちが、ひとびとを楽しませ、よろこばせるだなんて。  夜空に星があることはあたりまえで、わざわざ見上げるひとはすくなくなりました。  けれど、夜空を飾れなかった弱い星たちが、こんなにもひとびとのきもちを惹きつけたのです。  畑から飛び立っていく無数の星たち。  星使いたちも作業の手を止めて、茫然とそれを見送ります。  弱った星がすべて落ちてしまうまで「星降り」はつづき、地上のひとびとも、雲の上のひとたちも、みんなみんな、それを見つめていました。  星が綺麗な、静かな夜でした。
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