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君は僕から離れていく
大切なものは一つではないことに
気づいたその日
君は僕から離れていく
一つに縛られる必要はないのだと
最善が王とは限らないのだと
愛は契約ではないのだと
心は道しるべなのだと
気づいたその日
君は僕から離れていくんだね
あまりに暑くて
暑くて
君の涙を欲してしまったことがある
透きとおる雫は清水のようで
きっとひんやりとして気持ちいいのだろうと
そう思い込んでいたんだ
でも違った
あまりに寂しくて
寂しくて
君の言葉を奪ってしまったことがある
一から十まで丁寧に語らないでほしかった
理屈も説明もいらない
そのことを理解してほしかった
それだけだったんだ
大切なものは一つではないことに
気づいたその日
君は僕から離れていく
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