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翌日、僕は水の惑星に帰るために荷物をまとめてホテルの部屋を出た。
1階ロビーで待ち合わせした明澄さんに会って、ホテルのステイアウト手続きを済ませて車で高速鉄道に向かった。
車の中で明澄さんがいろいろ話しかけてくれたが、僕の耳には入らなかった。
高速鉄道で第3ドームから第1ドームに移動して、飛行船ターミナル駅の入り口で降車した。
「星輝さん、いろいろとトラブルがあって申し訳ありませんでした。
どうぞお気を付けてお帰りください。」
明澄さんが丁寧にお礼を言って僕に深々とお辞儀をした。
僕はそんな明澄さんの姿を見て、ますます水の惑星に帰ろうかどうしようか迷ってしまった。
この時の僕は水の惑星と石の惑星は争いがはじまるという情報を得ていて、もし水の惑星と石の惑星の争いが始まったら資源の乏しい石の惑星はすぐに滅びるだろうと思っていた。
でも僕は、
「明澄さん、いろいろとありがとうございました。
感謝しています。
明澄さん、お元気でお過ごしください。」
と明澄さんに声をかけて、後ろを振り向いてまっすぐに飛行船搭乗口に向かった。
僕は飛行船搭乗口に向かいながら、明澄さんとはもう永遠に会えなくなるかもしれないと思うと、何とも言えない虚脱感に襲われた。
飛行船搭乗口の飛行船アシスタントに飛行船の入り口に案内されたが僕は、
「キャンセルします。」
と言って後ろを振り返って走り始めた。
自分でもどうするつもりなのだろうか?
この星には、僕の住むところも何もないのだから…
でも、そんなことより明澄さんと会えなくなることのほうが辛かった。
僕は飛行船ターミナル駅の入り口に走っていた。
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