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プロローグ
キュッキュッと体育館を滑る音が響く。
制汗スプレーの匂いがあちこちから感じられる。
黒と赤を基調とした炎のようなデザインのユニフォームを身にまといながら、私たちはコートの中へと入っていく。
試合がはじまり、私たちは素早いフォーメーションのチェンジを繰り返しながらお互いの長所を活かし合い、攻守戦を繰り広げる。
ステップを踏みながら足を鳴らし、全体重をのせるように強いスマッシュをぶつける。
インコースギリギリのスマッシュに私とバディである美鈴はハイタッチをした。
「ナイッショー(ナイスショット)」
「ナイスフォロー」
私たちはお互い声をかけあって球を打ち返している。
「美鈴! お願い!」
「ぅあ゙っ!!!」
美鈴のスマッシュにシャトルは返されるもネットに引っかかってしまう。
「ラッキー」
「もう一本集中していくよー!」
私たちはどんな時でも、声に出す。
苦しくても辛くても、二人でコミュニケーションをとり粘り強さをみせてきた。
今でこそ私たちはダブルスでは部内のエースペアだ。
だが私たちがここまでくるのにはたくさんの壁があった。
これはシングルス出身の高崎 柚希と、初心者である野中 美鈴がバディになるまでの物語。
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