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翌朝──
「ふぁ……眠っ」
寝ぼけ眼を擦りながらエレベーターの乗場ボタンを押した。どうやら今朝は下から昇ってくるのでなく上から降りてくるようだ。
電光表示盤は8階からカウントダウンを刻んでいる。
扉が開く音が聞こえたので中も見ずに足を踏み入れると「おはようございます」と声を掛けられた。
「あ、お、おはようございます」
どこにでもいそうな地味顔の男。
声が昨日の人と似ている気もするが8階から降りてきたので違う人かもしれない。
モヤモヤだけが心の中に残る。
“ポンッ”
「───お先にどうぞ」
男性は1階に到着すると開ボタンを押さえ私を先に行かせる。
「すみません。お先に失礼します」
だがそんなモヤモヤもエレベーターを降りると忘れてしまった。
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