エレベーター

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「はぁ……疲れた。げぇ……私、エレベーター運ないのかなぁ?」  仕事が終わり疲労困憊で自宅マンションへ戻るとエレベーターの電光掲示表示盤の数字は7階を示していた。  昨日といい今日といいエレベーター運が無い。 「あれ──」  私が乗場ボタンを押そうとした時だった。エレベーターの唸るような低いモーター音が聞こえてきた。  どうやら7階から誰か降りてくるようだ。  少し待っていると黒い野球帽を被った男性が降りてきた。 「こんばんは」  先に挨拶をしてきたのは男性のほうで帽子のツバを持ちペコリと会釈をされた。エレベーターの扉にはガラス窓がついているので私に気付き挨拶をしてきたのだろう。 「こんばんは」  そしてそのまま黒い野球帽の男性は私の横をスッと通り過ぎる。  このマンションはよく人と会うなぁなんて思いながら6階の自分の部屋へと戻った。
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