16人が本棚に入れています
本棚に追加
ここに来てから一体何日経ったのか。
そんな考えが少女の頭によぎる。
涙が枯れると仕事にならないという理由で、わずかな水分とちいさなパン1つが少女に与えられていた。
老人の睡眠時間が少女の食事時間であり、睡眠時間である。排泄だけは、見張り付きでトイレに行かせてもらえることになっていた。
用を出す以外は全てパイプ椅子の上。
身も心も、休まるはずがなかった。
泣き続ける少女の姿を、老人が無表情に見つめている。
泣きすぎて、目も頭も痛くて重い。
訳がわからなくなってくる。
演技で泣いているのか、本当の感情なのか、もう判別がつかない。
少女の涙が尽きるのと、老人の命が尽きるのと、どちらがはやいのだろうか。
考えるな。考えたら途端に泣けなくなる。
少女は泣き続ける。己の今後の人生を守るために。
最初のコメントを投稿しよう!