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使用人のようなスーツを着た男性に案内され、少女は建物の中に入った。
男性がひとつの部屋の扉の前で立ち止まる。
「こちらでございます」
装飾のついたドア。それを開けて、少女に入るように促した。
シャンデリアのある大広間だった。壁にはたくさんの絵画がかけてある。アンティークの調度品の上に、絵皿が綺麗に並べられていた。
なぜだか、部屋の真ん中にはベッドが置かれている。
それを取り巻く人相の悪い四人の男たち。この場に似つかわしくない光景だった。
「おう、来たか。座れ」
前歯のない男が顎でしゃくった先――ベッドの足元にはパイプ椅子があった。少女はゆっくりと頷くと、椅子に腰掛ける。
その瞬間、ベッドの横に控えていた男のうち二人が、少女の後ろに回り込み、紐で手をパイプ椅子にくくりつけはじめた。
説明もなくエチュードがはじまったのだろうか。
少女は困惑した表情で、前歯のない男を見上げる。
男はニヤリと笑った。
それを合図にしたかのように、少女の背中に硬いものが押しつけられる。
「ホンモノだ」
少女の背後にいる内の一人が、何かを構える。発砲音がして、部屋の向こう側にあった絵皿が、粉々に吹き飛んだ。
少女の目が恐怖で見開かれる。前歯のない男は、ますます唇を歪ませて笑った。
「なにもお嬢ちゃんを殺したいわけじゃねえ。ちょっとしたお仕事さ」
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