#1 リベンジマッチ

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

#1 リベンジマッチ

暑い夏、高校一年生初めての夏休み。 毎週春輝さんに指定の場所に連れていかれる。 夏休みの間、特訓をお願いしていたのだが、 春輝さんは毎度ながら怪我をしていたり… 何を考えているかわからないような… 心ここに在らずな時もあったが。 一緒にいる事が増えたからだろう、 だんだんと春輝さんのことを知るようになっていった… ふと俺は…ある癖に気付いてしまった。 決まって嘘をつくときの癖があることに。 … 何故か、修行の最終日… そこに春輝さんの姿は無く、京極先輩が現れた。 足を庇って歩いて来るので、 痛々しく不安になる。 春輝先輩の来れなかったお詫びにお弁当を作ってきてくれたのでそれはラッキーだったが… 何かあったんだろうか。 「春輝さんって…」 俺が質問をすると困ったように笑っていた。 「…春輝の事、どうしてあげたら良いか…わからなくなっていて」 最初に会った時とは違って珍しく弱気な京極先輩に違和感があった。 「何があったのか、教えていただけますか?」 それに対して首を横に振られた…悔しい。 俺では力になれないことなんだろうか。 「…いつも1人で抱え込んでしまうから支えてあげて欲しいの…」 「京極先輩でも難しいんですね」 俺の言葉に複雑そうな表情だった。 何かを言うか言わないか迷っているんだろう。 「…お願いね」 ただそれだけ小さく呟くようなひとことだった… だから、それ以上追求することはやめた。 … 夏休みが明けて、 気怠そうにみんな登校してくる。 クラスに入って夏休みどうだったかとか、 思い出話に花を咲かせていた。 京極先輩が修行に来てくれてから、 春輝さんと連絡がとれていないのが、ちょっと引っかかっていて思い出話なんてしてる余裕が俺にはあまりない。 ホームルームが終わって、 とりあえず立ち上がる… 2年A組に行ってみるか… ちょっと覗き込むと春輝さんの机は落書きだらけだが、無人だった。 …まだ来ていない…のか…? 次の日も見かけない… 1年生や2年生…3年生までも知っていそうな人に居場所を聞いてみるが…電話も出ない。 京極先輩までもが来ていない… どうして… でも前に修行するかしないか返事を待っていた時に 同じように急に暫く居なくなったことがあった。 来るって信じて待つしかねぇのか? … 9月3日… 夏休み開けから3日後、 金髪のオールバックの背の低い少年を見かけた。 彼の兄は莉桜を狙って犯罪すれすれのことをした… あの日から彼を志騎高で見かけなかったから久しぶりに見て驚いた。 …商店街の出店にうろついて、 いくつか鞄に菓子を詰め込む男の手を取り。 「何やってんの?」 なんて話しかけていたのだ。 改心したのか? …いや、彼の素性を知っているわけじゃない…決め付けるのも良くないか。 「いや、その…」 盗みを働く男は目を泳がせていた。 「…まぁいいや、生活苦しかったら俺もやってたし…いきなよ」 少年がパッと手を話すと頭を何回も下げて男が走っていく。 「お前、」 と思わず金髪の少年に俺が声をかけると「うわっ」と変な声をあげて後退りされた。 びびったような動作を恥じるかのように頭を掻きながら 「あーーー…お前には会いたくなかったんだよな、見るたびにムカつくし」 と言うものだから 俺は何も出来なかったんだけどな、 と靴先の傷を眺めた。 「確か…坂垣雅人って名前だよな」 俺が名前を呼ぶとさらに怪訝な顔になった。 あれから気になり名前を調べたことがあったので、覚えていた。 板垣は近くにあった軽い棒を振り回し俺に向けた。 「コーヤンって呼ばれてることしか知らねぇけど…タイマンしねぇ?」 それは願ってもない実力試しのチャンスだが… さっきの様子を見ると、あまり気は乗らない。 そんな様子を見てか板垣が続ける。 「…お前が勝ったら春輝さんの居場所教えてやるよ」 なんて、… それは予想外の言葉だった。 俺を突き動かすのに十分すぎる。 「なんで春輝さんの名前がここで出てくんだよ…」 「知りたくないの?」 板垣は嫌味ったらしい顔をしていた。 なんだよ、何が起きてんだよ。 よくわからない感情のまま、 俺は「わかった」とだけ言う。 商店街から場所を移動すると、以前輝田と俺が罠にハマったあの工事途中の公園まで来た。 なんだか前より壁のアートが派手になってる… 壁に描かれたキャラクターにも文字にも色味にも見覚えがあった… …ずっと学校には来ていない様子だったが ここに春輝さんがいたのか…? 「はじめようぜ」 板垣は嬉しそうに棒を振り回している。 俺は物に頼らず素手でやるって決めていた。 「どっからでもこい!!!!」 俺が板垣に言い放つと、坂垣は棒を投げ捨て「痛い目に合わせてやるよ!!」と言って向かってくる…早い!! 思わずストレートに飛び込んでくる拳を交わしきれず、受け身のままダメージを受けた。 重てぇッ …なんだ!?…こんな感じのヤツだったか?! 身を翻し、俺は地面を蹴って坂垣に詰め、 拳を振るったが背が低いからか上手く当たらない。 クソッ…春輝さんと練習ばかりしたせいか、 対象が低いと全然違う… もちろん1発も春輝さんへ届く事はなく躱されていたが… 「お前だけだと思ってたんだろ!!!?」 坂垣は俺に思いっきり突進してくる、 腹に体当たりをされ後ろに倒れ込んだ。 「春輝さんは…俺にもチャンスをくれたんだよ!!!!!…負けねぇから!!!」 そのまま坂垣は血眼になって、俺へ拳を向けてきた…身体が反射的に避けて体勢を整える。 軽い、身体が動く。 避けることに関しては集中すれば、 修行のおかげか即座に反応が出来た。 このまま相手の体力を奪っていけばいい。 たった一回のチャンスにかける。 坂垣はイライラしてきたのか…どんどん加速してくる…じっと冷静に見られるのも、 不思議と嬉しかったのかもしれない。 春輝さん… もしかして、 春輝さんがこの状況を作り出したんじゃないですか? 俺の為に…坂垣の為に… そうやって、人と人を繋げるのがうまいんですよね… 俺、ちゃんと知ってますよ。 それに、春輝さんが望んでる結果もわかります。 「ちょこまかウゼェ!!!!」 坂垣は息も絶え絶えに怒りをあらわにして言う。 呼吸が大分乱れてきたし、そろそろいいだろう。 さっきまでとは、違って攻めの姿勢で向かう、 腰を入れて少し屈んだ。 対象が低いなら、俺も低くなればいい。 ストレートに拳を振るうと、坂垣は受け身が間に合わず思いっきり顔面にくらった。 軽く入れたつもりだったが、 ヒットして、当たり具合に冷や汗が出た。 決めることに集中して配慮が足りなかったか。まだ手加減が出来るレベルじゃない。 地面に座り込んでる姿を見て不安になった。 「悪い…」 と声をかけると 板垣は地面に拳を叩きつけた。 「巫山戯んな!!!!!謝ってんじゃねえ!!!」 確かに、相手の心配をしてる場合じゃなかったのかもしれない…でも、目に見えて強さの違いを感じた。 あの時よりは強くなったんだろう… でも怒りに任せてばかりでブレている。 勿体無いといったら失礼だが、拳の重さは俺より格段に上だ…当たらなきゃ意味はないが、 もっと正確に当たっていたら俺に勝ち目は無い。 「やめとこう、また日を改めてでもいい…怒りに任せてもいい事はないだろ…」 これは同じ場所だったから…かもしれない、 あの時確かに啖呵を切って怒りに身を任せて馬鹿みたいにボコボコにされたから… だから俺は今そうやって言えてる。 「春輝さん…」 急に坂垣は泣き出した。 泣かせるつもりじゃなかったのに、地面に平伏す彼の姿を見て居た堪れなくなる。 「…ッ」 思わず肩に触れようとした瞬間、 ふわっと布が坂垣にかかった… 白いタオルは、まるで柔らかな天使の羽のように坂垣を包み込む。 「泣かせちゃいけないんだ〜」 そこには懐かしい姿があった、 何故かまた傷だらけで、 髪も伸びっぱなしで… セットもされてなくて… でもただ、そこには、 いつもと同じように意地悪な口調と、 楽しそうに笑う春輝さんが居た。 声にならなくて、息が詰まりそうで、 よくわからないけど涙が溢れた。 坂垣につられたのか、 自分の感情がぐちゃぐちゃだった。 本当は怖かった、 何かをいつも隠してるようで、 抱えてるような… そんな姿を見て不安だった… 春輝さんは、 すぐにでも消えていなくなってしまいそうな気がしていたから。 … あれから坂垣は軽く手当てだけして先に帰った… 俺と春輝さんだけが、工事現場に残される。 沈黙の中、 春輝さんの甘いタバコの香りだけが漂ってくる。 「…全部わかってた顔してんね」 春輝さんが俺に目も合わせず話しかけてきた。 「合ってるか判らないですけどね…」 俺が複雑そうな表情で言うと、 横目に俺を見てから、にっこりと笑って 「コーヤンは、もう俺の事必要じゃないね」 …と言った。 あまりに綺麗に笑うからゾッとした… それは、明らかなる拒絶だ。 急に置かれた壁に嫌な予感がする。 「何言ってるんですか、俺…」 「見てればわかるよ」 何かを喋ろうとすれば遮られた。 確かに以前よりは良くなったのかもしれない… だけど… 「まだ、春輝さんを倒せてません」 「じゃあやってみる?」 立ち上がって俺の前に春輝さんが対峙した。 夕焼けを受けて反射で表情は見えない… 一か八か拳を突き立てる… が… …すれすれのところで止めた。 「なんで動かないんすか…」 春輝さんは、いっさい動かずに目を瞑っていた。 嬉しそうに笑って、 「俺は好きなヤツとは戦わないから」 そう言って手をあげた。 春輝さんの心を動かせない自分にも腹が立つ。 「本当に…何やってんですか…そんな姿で…学校にも来ないし、みんなが心配してんですよ」 俺は思わず座り込んだ。 無抵抗な春輝さんを殴るなんて出来ない。 そんな姿を見てか、春輝さんは俺の前で思いっきり胡座をかいて座り込んだ。 「あとちょっとなんだ、大丈夫…ちゃんと帰るから…」 それだけ言って俺の前に拳を向けてくる。 合わせろって事だろうか? 思わず自分の拳を春輝さんの拳に当てると、 「ちげぇよ」と言って笑い出した。 「ヤンキーの挨拶みたいなやつかと…」 俺が慌てると「本当コーヤン好きだなぁ」なんて、 優しく言うもんだから不思議と俺も笑っていた。 パッと手元に無理矢理何かを押し付けられた。 これは、春輝さんがつけてる黒い指輪? いつも左の人差し指にしていたやつか… 「春輝さん?」 不思議そうな顔をしてると、「もってて」なんて言われた…不吉な事をするな… 「嫌ですよ」 「すぐ帰るから、それまで預かっててよ…」 春輝さんは、それだけ言って立ち上がった。 「待ってください!…絶対学校来ますよね?」 思わず慌てる俺に拳が飛んでくる、 あまりの速さに目を瞑ると、 ガッと首の後ろに衝撃が走った… 目がチカチカする…なんだ、これ…? 「帰るよ、指輪大切なものだから絶対無くさないでね」 その言葉だけが耳に残っていた。 視界が遠のく… クソッ … ハッ…と目が覚めると、 いつの間にか布団に潜り込んでいた。 ここは俺の家? 家族はスヤスヤと寝ている… なんだったんだ?夢じゃないよな… 確かに首の後ろの痛みがある。 …携帯をふと覗き込むと 春輝さんからメッセージが来ていた。 『今日はごめんね?家までは送ったよ〜…指輪絶対無くさないでね〜…また学校で』 それだけしか書いてなかった。 俺の家を知っていたのか? いや、まてよ指輪はどこだ? 焦って部屋に戻ると机の上に見慣れないハンカチがあり、その上に指輪が置かれていた。 このハンカチ…ふと、甘い香りがして気付く。 京極先輩だろうか。 弁当を持ってきてくれた日に、 確かに似たような香りがしたと思う。 ちょっと懐かしい香りが混じって独特な… そう、あれだ…線香に近い香り… 2人とも揃って学校に来ていないからこそ、 また嫌な組み合わせで部屋の机の上に並んでるのを見て不安が過ぎる。 信じなきゃいけない、 でも、言いたい事全部は言えてない。 次学校に来たら言いたいことも 聞きたいこともあるから、 だからお願いしますよ… 無事で登校してきてくださいね… … …まだ終わってない。 ふと夜の空を見て息を吐く。 夏が過ぎて9月、まだ暑さも少し残る中。 本当は学校が始まる前に片付けるつもりだった ある用事のことを考えていた。 …誰かに話した事はなかったが、 坂垣雅人はコーヤンよりも早く 俺に頭を下げてきた人物だった… コーヤンと莉桜ちゃんを助けたあの日の帰り… 「春輝先輩!今日は本当にすみませんでした!」 急に彼は俺に道端で土下座をする。 すぐに謝りにくるなんて…なんか怪しいな… 「邪魔、そこどいてくんない?」 「嫌です!!!!」 雅人は俺の前に立ち塞がった。 一体なんだというのか… 「はぁ…別にお前が何やってんのか探るつもりもないし…心配しなくていいよ」 「違うんです…」 急にまた地面に伏せて土下座するようにしゃがみ込む…さっきまでの態度とは大違いだ。 「助けてください」 弱々しくそう言った雅人の声は不思議と俺の心に入り込んできた。 何か…事情があるのだろうか… 「とりあえず…マックでもいく?」 近くに見えたマックを指差すと「奢ります!行きましょう!」なんて雅人は立ち上がりマックへと向かっていった。 そこで聞いたのは、雅人の兄についてだった。 彼の兄は弱そうに見えたがかなりの暴力を雅人に奮ってきたらしい。 逆らえなかったのは、兄が人を殺したことがあり… それの手助けをした事があったからだそうだ。 弱みを握られているというか、もはや無理矢理共犯者に仕立て上げられてしまっているという。 それが真実なら、下手に兄を刺激すれば自分も道連れになるから、どうにもできない。 しかも兄のバックにやばい奴らがいる… という話だった。 解決策はその時全く見えてこなかったし、 俺は話を聞いてあげることしかできなかった。 飲み終わった空のジュースを握り潰す。 何か違う場所を…彼にあげられないだろうか… 不意に思いついた事があった。 「全部やめて逃げちゃえば?俺が見てあげるから鍛えねぇ?兄より強くなれば何とかなるかもしんないじゃん…」 その言葉に雅人は悩んでいた。 簡単な話じゃないのは解ってる。 兄が怪しむだろうから、誰にも知られたくない… 裏切る事ができるのかを試したかった。 「…全部は無理なんですけど…下っ端に降格して…関わる人を減らす事ができたら…余裕があるんで春輝さんに会いに行けるかも」 そう言って自分で解決策を提示できるぐらいだ、 多分まだ心が生きてる。 しっかり自分のことを考えてるんだ。 大丈夫だ、こいつは強くなる。 「いいね…頑張ってみて、余裕ができたら会いにきなよ」 「はい!」 そう言って手を差し出すと手を握られた。 嬉しそうな雅人の顔が、 きっと本当は悪い奴じゃないんだと思わせる。 俺に何ができるかって、これくらいしかないけど… そう思っていた次の日の、 コーヤンからの修行の依頼… 2人を同時に見るなんて、俺にできるのか。 それが一番不安がデカかったが… 不意に思いついてしまった。 2人をぶつけてみたい…タイマンさせよう。 コーヤンには悪いが雅人には初めからタイマンをさせるつもりで育ててきた。 それは、 コーヤンの方が絶対強くなると思っていたからだ。 雅人の体格と筋力と全てが弱そうで… 武器頼りになるのも仕方ないだろうし、 何より初めから戦うことに何処か躊躇いがあった。 雅人は優しい子なんだろう。 いろんな柵があるのか、 不安定な彼は感情にも飲まれやすいし、 コーヤンみたいにブレないタイプには 隙を作りやすい… …だから、なるべくその時が来るまでは… 兄の話を聞いてあげたり、 彼の日常の話を聞いてあげていた。 学校に行くことをやめた彼に 少しでも普通の友達のような関係を、 作っておいてあげたかったからだ。 … でも、 日々を重ね、 コーヤンは成長が早くて、 俺に対しても何かを感じているようだ。 視線が気になる。 良く人を見ていた。 きっと、俺だけじゃなくて… コーヤンは、いろんな人と関わって、 どんどん世界を広げられるタイプなんだろうな。 期待値が高い。 だからこそ、雅人が負けるのは想定内だった。 でも負けを知るほどに強くなる事もある。 …俺は、約束を破る事はしたくない。 ちゃんと、全部を片付けたら… 学校に行って、 コーヤンに事情は話そうと思う。 雅人とも仲良くなれんじゃないかな… そんな期待もあるんだけど、 きっと俺がこの用事を終わらせたら、 暫く雅人は辛くなるだろうから。 それを乗り越えたあとまた、 2人が力比べでもしてくれたらいいな… 俺にとって、どっちも大切だから。 勝ち負けよりも楽しんでほしいと願うばかりだ。 さて… 煙草に火をつけ吸い込むと、 ゆっくり歩き出した、 今日できっと全部終わる。 待たせたな、 きっと雅人は自由になれるから。 …… 清々しい朝なのに、 ニュースで見た町の名前が地元だったので、 俺は「まじかよ」なんて口にしながら、 テレビに目が釘付けになった。 学校に行く前にチェックしていたニュースでは性犯罪を繰り返してきた男が逮捕されたなんてやってる… 坂垣…容疑者…? 胸騒ぎがする。 坂垣ってまさかな…あいつの兄か? そう思ってると雅人の兄が画面に移り俺はゾッとした… 輝田を狙っていた男が…殺人って… 俺は殺人犯に向かって行ってだんだなって思うと愚かなことをしていたことに気付く。 あの時、本当に春輝さんがいなかったら… 不意にご飯も進まないままテレビを見ていと、画面に春輝さんが映ったような… いや、映ってた…見間違えるはずが無い。 髪が黒かったし印象は違うが、 警察と何かを話してる… 他にもこのニュース見てる奴がいたら、 春輝さんに悪いイメージつくんじゃないか? いや、春輝さんに限ってそんな… 思わず俺は急いで飯を食って学校に走り出した、 誰かと…話したい… …校門の前について、俺は誰かじゃなく、 一番話したかった人を見つけてしまった… 「春輝…さん…」 やっぱり怪我ばっかして、酷い有様だ。… でも今日はちゃんと髪をセットしてるし、 髪色もピンク色に染まっていた。 学校に来る用意をしてきてたんだろう… いつも通りの姿がまた安心と不安と 両方の感情を生む。 「コーヤン、おはよう…あと、ごめんね」 そう言って、ふんわりと笑っていた。 なんだか少しいつもとは違って、 疲れているんだろうけど やり切った顔をしている… 「俺、ちょっと怒ってます」 春輝さんに気持ちをぶつけよう、 今しかない。 「…今日ニュース見ました、何があったのか話してください…俺ってそんなに頼りないですか?」 そう言うと春輝さんは首を振った。 「むしろ怖いぐらいにコーヤンは成長が早いから…いっぱい頼っちゃいそうなんだよね〜…怖い怖い」 それは嘘じゃなく本心だろう… 「何も言わずに居なくなるのやめてくださいよ」 「あー…うん、そうだね…」 そう言いながら目が合わない、 きっとまた居なくなるんだろうな… 「春輝さん」 「ん?」 どうしても確かめたい事がある… 「春輝さんは危ない世界に踏み込んじゃってるんじゃないですか?…だから、何も話してくれないんですよね…?」 少し間があって、 「そんなことないよ」 と言ったが… その言葉と、 ある仕草を見て俺は確信した… 春輝さんは何か危ない事に巻き込まれてるんだと。 …どうにか力になりたいと思った。 また学校に戻ってきてくれたのだから、 希望は有るはずだ。 春輝さんからまだ教えてもらいたい事も たくさんある… 今の俺なら大丈夫だ、 俺は俺のために春輝さんの力になりたい。 これからの戦いが、 俺が勝たなきゃいけないものなのかも知れない。 END …!! はい!…どう、も… 何回も語り過ぎて、何話そうか迷ってる 神条めばるです!やぁ! 、、、、今回は、ちょっと前にあった… いや、結構前かな。 莉桜ちゃんとコーヤンの話から続く、 リベンジマッチの話です!!!! 、、、実はこの話、莉桜ちゃんとコーヤンの話を書いた時から二つのルートを用意していました。 今回上がった世界線とは別に、 春輝が雅人を育てずに卑怯な手を使ってコーヤンに怪我させる話です。 …何故そっちのルートにいかなかったのか…というのを語ると他のキャラを巻き込むから言えない。 なんて、、、非常に意味深な話なんですが。 割とみんなの言葉がこの先に起きるシナリオを大幅に変更してくれております。笑 こんなストーリーの作り方をしたことがないから、いろんなキャラと関わりながら、 感動ばかりしています。 、、、、凄いなぁ。 とにかく、言葉って凄いなって感じてます… シナリオもここまで続けようなんて実際思っていなかったし… ある人から「黒歴史みたいにならない?」って聞かれてそれは絶対無いなって話をしてました。 私は基本的に恥じて何もしないでいる事の方が人生一度きりだから勿体ないなって感じてしまう人です。 ありのまま、 やれることやっていきたいなぁと!!! シキケンのシナリオ、結局ボツになったのもあるし、それはそれで更に世界観を大幅に変えたり動きが出てくるし、悪く無いと思うあたり… 私はポジティブに生きてるんだよなぁって思う。笑 春輝にも、それって反映してるとこだけど。 ただ、言えることは… 人間誰しも全てを手に入れられないし、 何かを諦めなきゃいけないことがある。 それを言いたいのが、このシナリオかな! 勝ち負けじゃなくて… 春輝にとって、 コーヤンは将来強くなる… 雅人は弱くなる… この違いが、新しい溝を生みました。 違うルートなら逆の方向だったんです。 実は、この話、 すっごく大事な分岐地点でした。 あと非常に意地の悪い話ですが。 春輝が嘘をつくときにやる…行動について、 コーヤンが察しのいい子だから、 わざとやっています。 春輝は本来、ズルイ人なんです。 私はあんまり好きじゃないキャラなんだけど← 凄く嫌なやつだし、 人をイライラさせます。 でも心に釘がたくさん刺さっていて、 地雷を踏まれるたびに血を流して、 耐えて耐えて、 何かを探しているんです。 何か… を… さてさて、あまり詳しく語ると、 暗い話になっちゃうからやめときます♡ 更にこれからシナリオが続くよ。 実は同日に…莉桜ちゃんの話が上がる。 …2人のを同時期に進めたい! 中の人の一心でした!!! …学祭ストーリーなので、 学祭と合わせて楽しんでもらえたら幸いです。 ではまた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!