プロローグ

1/1
前へ
/12ページ
次へ

プロローグ

 時計台が立つ麓。 悪魔のようだと恐れられていた死神は、ただ涙を流した。 何故なら2年もの間、彼が愛していた少女が死んでしまったからだ。 ぎゅっと握りしめた彼女の亡骸をただただ見つめ、彼は泣いていた。  目をつぶると、彼女との思い出がまるで走馬灯のように流れる。 幸せそうなあの顔。 手をつないだ感触。 抱きしめたぬくもり。 彼女が触れた自分の頬。 その全てを。 死神が少女に恋をしたのは2年ほど前だった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加