3人が本棚に入れています
本棚に追加
出会いと恋心
その死神は仕事として、一人の少女の命を刈り取るよう言われ、病室に佇むその少女を迎えに行った。
窓から見える死神の姿に少女は一瞬驚いたが、やがて笑ってこう言った。
「あなたは……死神さんかしら?」
普通の人間には、死神や天使などという部類のものは見えないはずだ。
死神は初めて人間に話しかけられ、戸惑いながら質問に答えた。
「そうだけど……見えるの……?僕のこと……」
それに彼女は笑って答えた。
「えぇ、もちろん」
そして悲しそうな顔をして続けた。
「あと2年しか生きられないんですもの、当たり前よ」
悲しそうに笑う彼女。
「……死神さんは……どうやってここまで来たの?」
死神が病室の中に移動した時、彼女の目線は窓の外に向けられていた。
「え? 飛んできたけど……」
オドオドしてる死神に少女は笑顔で答えた。
「いいなぁ……
私も飛んでみたい」
ふわりと笑った少女に、死神は胸を掴まれるような感覚に陥った。
最初のコメントを投稿しよう!