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目を開けた。 体はもう動かない。 布団に横たわった俺と彼女を、二人の男が見下ろしている。 「あとどれくらい残ってる?」 一人の男が聞く。 「2つだ」 もう一人の男が答える。 「薬が必要になる頻度が上がっている。このままじゃ10日目まで持たないかもしれない」 その男は刃が引っ込んだナイフの柄をポケットに入れながら、ため息をついた。 「———を使うのか」 もう一人の男が少し明るくなってきた窓を見つめた。 はめ込み式の明かり窓。 各寝室にある、この船の中で唯一、外部とつながる窓だ。 曇りガラスで外は見えない。 「あれはおそらくどんなに頑張っても割れない」 男が呟くように言った。 「でも、なら―――」 二人の視線が交わされる。 「————殺せよ」 やっと声が出た俺を、二人が振り返る。 「———殺せ」 なぜか涙が流れる。 横では何事もなかったかのようにスヤスヤと眠る砂子の寝顔がある。 ―――こいつを殺してくれよ。 これ以上犠牲者が出る前に。 目を瞑る。 意識が遠のいていく。 「この女を、殺せ―――」 ーーーで、構わないからーーー。
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