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翌日……
「ねぇ知ってる?怪物の都市伝説。」
「怪物?」
登校中なのだろうか。空の横を並んで歩く瑠奈が問いかけた。
「そ。なんか最近頻発してるらしいのよ怪事件。それでその現場がどれこれも人間離れしたことになってるから、犯人は怪物なんじゃないか……って。」
「へぇ……どーせ嘘だろ?都市伝説なんだし。昔の話をうまーく今風に変えてさ…」
殆ど信じていない空に瑠奈が続ける。
「でもTwitterとかで画像流れてるよ。ほら、今朝もあったみたい……『愛犬細切れ惨殺事件』…だって!」
「頼むから画像とかみせんなよ……」
スマホの画面を見せようとした瑠奈の手首をつかんでそれを阻止する。
「てかお前!風紀委員長ならもっと早くでろよ!何俺とのんびり歩いてんだよ!」
「フフフ…わかってないわね。」
チッチッチッと古臭いアクションをしながら瑠奈が続けた。
「我が校で1番風紀を見出しかねないのはソラ!あなたなの!つまり、風紀委員長の私がそばにいるというのは最大の対処なの!わかる?」
「ぐっ……」
ドヤ顔を決め込む瑠奈に何も反論できない空。
「………その目、隠す気ないの?」
「は?」
不意の瑠奈の一言。声色も少し空を心配したような申し訳無さそうな様子。
「なんだよいきなり……」
「だってソラが不良みたいに思われるのってその目の色もあるでしょ?態度もあれだけど……カラコンなら一緒に選んであげるからさ!だから…」
「ないよ。」
空は瑠奈の言葉を一蹴した。
何か、強い決意の籠もった言葉で。
「……そっか。………ごめんね!変なこと聞いて!さ、早くしないと遅刻だよ!!」
「ちょ、いきなり走るなよ……」
走り出す瑠奈を追うように空も走り出す。
「…………」
その様子を物陰から見つめる男がいるとは知らずに。
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