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「ここが星河学園……か。」
空達が登校し終えて数時間後。日も登りきった頃に、校門前に一人の男が立っていた。
スーツに見を包み、左手には重厚なアタッシュケースを持った鮫島だった。
「ホントにこんなところに……?」
少し不安げな様子の鮫島。ここに来たのは少し理由があった。
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遡ること12時間前……
『なるほど……2号機のユーザーを見つけて、この事態に対処しようと……』
「あぁ。今はそれしかない。」
会議室での鮫島の発言に、白衣の男はモニター越しに答えた。
「事態が悪化する前にユーザーを見つけて、可能であれば訓練もしたい。そのために一刻も早く…」
『条件がある。』
鮫島の言葉を遮り、白衣の男は続けた。
『緊急時だ。今回のユーザー任命権は隊長の君に与えよう。』
「ホントか!?」
任命権…その言葉に大きく反応する鮫島。
『その代わり、僕が推薦するある人物に第一に会ってきてほしい。』
「それは……誰だ?」
『それは……』
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「星河学園、体育教師………万丈 武ホントにこの人物を推薦するのか……?」
時間は戻って現在。
白衣の男から推薦された人物のデータを見ながら呟く。
つまり何らかのスカウトにきた……ということだろう。
「……悩んでても仕方ない……か。」
なぜ一般の体育教師を……?と、多少の疑問は抱きつつも、それを飲み込み、鮫島は学園の入口へと向う。
「失礼。学園に何か御用でしょうか?」
校門前の警備員が、近づいてくる鮫島を止める。
「えぇ。こちらの万丈先生にお話がありまして…」
「万丈先生……ですね。ちょっと確認を取りますね…」
警備員とやり取りをしていた……その時
「「きゃぁぁぁぁっ!!!」」
突然響く大勢の悲鳴。そして轟く轟音。
「な、なんだ!?いったいなにが!?」
「くっ!」
誰かがとっさに押したのであろう、非常ベルも鳴り響き、混沌とする学園。
警備員が慌てふためく横で、鮫島はその災禍の中へと走り出していた。
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