本当の私は・・・

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本当の私は・・・

 リラを探して。  結沙はいつの間にかあの事故現場に来ていた。  時間は20時を回る頃。  この時間になると人通りが少なくなり、車の数も減っている。  交差点で、ポツンと立っている人が居る。  信号が青になっても渡ろうとしない。  結沙は胸騒ぎがして、歩み寄って行った。  交差点で佇んでいたのはリラだった。  上着も来ていないリラは、ちょっと肩を竦めていた。  リラに気付いて、結沙は駆け寄った。 「リラさん! 」  結沙の声にハッとして、リラは振り向いた。 「どうしたの? こんなところで」 「…いえ…別に…」  結沙は自分の着ていた上着をリラに着せた。 「寒いのに、そんな薄着で。風邪ひいたらどうするの? 」 「…すみません…」  そう答えるリラが悲しげな目をしている。  その目を見ると、結沙にもなんとなく気持ちが伝わってきて胸が痛んだ。 「ねぇリラさん。もしかして、この場所になにかあるの? 」 「…いいえ」  ヒラヒラ…。  またガラスの雪が降りだしてきた。 「雪…」  夜空から舞い降りてくるガラスの雪は、とても綺麗で何かのイルミネーションのように見える。 「ねぇ、リラさん」 「…はい…」 「リラさんって、本当の名前なの? 」    はぁ? と、リラは結沙を見た。 「ごめん、変な事聞いて。何となくだけど、リラさんってイメージじゃないと思っただけで。名前なんて、どうでもいいから」  リラはフイッと目を反らした。 「あの…」 「え? 何? 」 「私、住むところ見つかったので。もう、貴方の家には戻りません。お世話になってしまい、すみませんでした」  そう答えるリラの目が、ちょっとだけ泳いでいたのを結沙は見た。 「どこに住むの? 」 「それは、言えません」 「どうして? 」 「別の親戚の家に…お世話になるので…」  結沙はじっとリラを見つめた。
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