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「…決して会社に迷惑をかける事は、したくないと思って。私も自首を進めようと思い、潜り込んでいました。本来なら、この仕事は警察の役目ですが。どうしても、母の無念を晴らしたくて…。親戚の伯父も、家を乗っ取りずっと私を恐喝していたので。その事も含めて、調査に協力していただけなんですが…」
「分かったよ。これで、なんだかスッキリしたよ。俺は、やっぱり君にしか反応しないんだって確信したから」
ギュッと結沙はリラを抱きしめた。
「まだみんなには、秘密にしておくから安心して。でも、2人きりの時は本当の名前で呼んでもいいかな? 」
「あ…はい…」
リラはちょっぴり照れてしまった。
「イディスって名前、素敵だね」
「母がアメリカ国籍を持っていて、それで決めたそうです。父と結婚するとき、母はアメリカ国籍だったようです」
「そうなんだ、リラって名前じゃないって。君のハートが言っていたんだよ」
「え? 」
「俺は時々、ハートの声が聞こえるんだ。今は、とっても喜んでいるよ」
そっと体を離して、結沙はリラを見つめた。
「愛しているから。…これからもずっと、俺の傍にいて下さい…」
「え? …」
結沙は熱い目でリラを見つめた。
「俺と…結婚して下さい…」
え? プロポーズ?
なんで? …
リラは驚いて茫然となった。
「本気で…言っているの? 」
「もちろん本気だよ。ずっと一緒にいたいから。さっき言っただろう? 俺の手をずっと、離さないでって」
「でも私…。他の人の比べたら、何もとりえもないし。…ダメだよ。うん…絶対ダメ! 」
「なんで? 」
「だって私…」
パリン…!
机の上に置いてあったコップにひびが入った。
それを見てリラは動揺した目をした。
「ダメだよ、私なんか。…私は…魔女だもの…」
ん? と、結沙はリラを見た。
「私、魔女なんです」
「魔女? 魔法使いの事? 」
「はい。母の家系が、魔法使いの一族なんです。その血を受け継いでいて、何が起こるか判らなくて…だから…」
フフッと、結沙は笑った。
「そんな事、気づいていたよ」
「え? 」
「だって、君が悲しい目をすると。いつも、綺麗な雪が降ってきて。部屋の中でも、舞い降りて来たし。さっきもそうだったから。魔法が使えるのかな? って、思ったんだ」
「そうなの、だから…」
「それでも俺の気持ちは、変わらないよ。君が魔法が使えても、何も問題はない。大切なのは、相手をどう思うかだけだよ」
どう想うか…そうだけど…。
リラは俯いて黙ってしまった。
そんなリラを、結沙はギュッと抱きしめた。
「もういいよ。分かったから…」
そっと体を離すと、ゆっくりと結沙の唇が近づいてきた。
ふわりと優しい唇が重なった。
優しくて全てを包み込んでくれるような…。
あの初めての夜の時とはまた違うキスに、リラはギュッと結沙にしがみ付いた。
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