最後に教えて下さい・・・

3/8
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
 信じられない顔をしているリラ。  注文された珈琲が来て、結沙は砂糖を入れて飲み始めた。 「あ、ここの珈琲美味しいんだね。近くなんだけど初めて来たんだ」 「はい。でも…苦いって言ってた人もいました…」 「うん、確かに苦めだよね。でも、目の前に大好きな人が居ると。苦くても美味しいって感じるんだよ」  胸がキュンとなって、リラは正直嬉しかった。  1人で寂しさを感じていた…  そんな時に結沙が来てくれるなんて…。  リラもカフェオレを飲んだ。 「あ…美味しい…」  さっきまで美味しくないと感じていたカフェオレ。  だが、結沙が来てくれたら何だか美味しくなった。 「何だか魔法みたい…」 「え? そんな事言われた嬉しくなるよ。でも、これからは一緒に飲もう。ここだけじゃなくて、他にも、もっと良い店たくさん知っているから行ってみよう」 「はい…」  リラは素直に答えた。 「その服可愛いね。母さん、案外趣味良いんだ」    着ている服を誉められて、リラはちょっと照れている。 「ねぇ、もしかして。今日は…検察局に行くの? 」 「え…」  驚くリラを、結沙はじっと見つめた。 「違ったかな? 」 「あ、いいえ。今日は…母のお墓に行くだけです」 「そっか。気を付けてね」 「はい、有難うございます」  結沙は相変わらずの笑顔を向けてくれるが、何となくどこか見抜かれているようで。  リラは胸がチクリと痛んだ。  カフェを出た後。  リラは駅に向かった。  結沙はそのまま仕事に向かった。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!