家族になろう

1/7
前へ
/70ページ
次へ

家族になろう

 結沙は自分が着ている上着を、そっとリラに羽織らせた。 「女性は冷えが天敵って、母さんが言っていた。風邪ひいたら、大変だよ」  リラはグッと唇を噛んだ。  すると…  ヒラヒラ…  氷のような雪が舞い降りてきた。 「あれ? この雪…」  結沙は雪を掌に受け止めた。 「そっか。…この雪は、君が悲しい思いをすると降って来るんだね」 「悲しみなんて…もう忘れていますから…」  イディスは上着をそっと、結沙に返した。 「私に優しくはしないで下さい。魔女ですから、私」  差し出された上着を持つリラの手が、震えている…。  結沙はその手をそっと握った。 「あ…」  また、結沙の股間が反応したのを感じた。  結沙はリラをじっと見つめた。  よく見るとリラと似ている。  髪の色は違うが、顎のラインや鼻の形や口元がそっくりである。  長い前髪で表情が隠れているが、触れている手の感覚は同じで…。 「そっか…やっと分かったよ…」  結沙はリラの手を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加