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家族になろう
結沙は自分が着ている上着を、そっとリラに羽織らせた。
「女性は冷えが天敵って、母さんが言っていた。風邪ひいたら、大変だよ」
リラはグッと唇を噛んだ。
すると…
ヒラヒラ…
氷のような雪が舞い降りてきた。
「あれ? この雪…」
結沙は雪を掌に受け止めた。
「そっか。…この雪は、君が悲しい思いをすると降って来るんだね」
「悲しみなんて…もう忘れていますから…」
イディスは上着をそっと、結沙に返した。
「私に優しくはしないで下さい。魔女ですから、私」
差し出された上着を持つリラの手が、震えている…。
結沙はその手をそっと握った。
「あ…」
また、結沙の股間が反応したのを感じた。
結沙はリラをじっと見つめた。
よく見るとリラと似ている。
髪の色は違うが、顎のラインや鼻の形や口元がそっくりである。
長い前髪で表情が隠れているが、触れている手の感覚は同じで…。
「そっか…やっと分かったよ…」
結沙はリラの手を引き寄せて、ギュッと抱きしめた。
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