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「あ、あの…お母さん…」
「うん」
「…赤ちゃん、来てくれていました」
「本当? で、今どのくらいなの? 」
「はい、もう8週目で、もうすぐ9週目に入ります」
「え? 本当? じゃあ産まれるのは夏頃? 」
「まだ確定されていませんが、たぶんそのくらいかと思います」
「わぁー、良かった! 結人さん! もうすぐお爺ちゃんよ」
紗良はとても嬉しそうに、結人の下へ行った。
「母さん随分喜んでいるね」
「びっくりしたわ」
結沙とイディスがリビングに行くと、結人にぎゅっと抱き着いている紗良がいた。
そんな紗良を見て、イディスはちょっと驚いた目をした。
「結人さん、どっちだと思う? 」
「あ? まだ判らないだろう? そんな事」
「え? でも、どっちがいい? 男の子? 女の子? 」
「どっちでもいいじゃないか、来てくれたならそれで」
「え? 私は女の子がいいの。結ちゃんも良ちゃんも男の子で、ずっと男の子にばかり囲まれていたから。今度は、女の子に囲まれたいの」
「まったく。お前が産むんじゃないだろう? 」
「そうだけど、女の子なら。いっぱい、オシャレさせてあげられるでしょう? 」
「はい、はい。分かった、分かった」
すっかり結人に甘えている紗良を見て、結沙もイディスも笑っていた。
一息ついて。
結沙とイディスは食卓でお茶を飲んでいる。
ソファーに座っている、結人と紗良はまだ赤ちゃんが来てくれた事で話しが盛り上がっている。
「お父さんとお母さん、随分と仲がいいのね」
「うん。喧嘩したところ、見たことないよ。たまに、母さんが父さんの事を叱っているところは見たことあるけどね」
「叱っているの? 」
「ああ、父さんはああ見えても、忘れっぽい人だから。お風呂上りに、全裸で出てきて怒られていたり、脱いだものそのままにリビングに置きっぱなしだったり。冷蔵庫を開けっぱなしだったりで。母さんはいつも「子供が3人いるみたい」って言っていたから」
「ぜんぜん、そんな風に見えないのにね」
「でも父さんと母さん。今でもちゃんと、仲良ししているって言っていたよ」
「え? …」
驚いて、赤くなるイディスを見て結沙はクスッと笑った。
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