第一幕 とある就活中の女子大生

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「うん。じゃあさ、付け加えなかったらどういう感じか、ちょっとやってみよう。なんでもいいから適当に面接っぽいこと聞いてくれる?」 「え、私が聞くんですね?えっと、じゃあ、当社を志望する理由はなんでしょう」 「完全週休二日制をとっていることや、残業が少ないからです」 「えっと……入社したらどんな部署で勤務したいですか」 「営業部がいいと思っています」 「あとは……勤務地に希望はありますか」 「特に指定はありませんが、自宅から近いほうがいいなと思います」 「……まだやりますか?」 「いや、もう十分じゃない?どう、なんとなくわかった?」 「まさになんとなく程度には。会話が続かないっていうか、ぎこちないですよね」 「うん、それもそうだけどさ、聞く側になって、さっきみたいな返答だったら何か思うところはなかったかい?」 「思うところ……魅力は感じないですよね、あんまり採用する気にはならないっていうか」 「だろうねぇ。ちなみに、今は言葉を付け足すかそうでないかの違いを考えているわけだけど、その点をふまえたらどう?」 「あ、なんでだろうって思いました」
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