第一幕 とある就活中の女子大生

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「それだよ。その通り。聞かれたことはちゃんと答えているはずなのに、何か物足りない感があるでしょう。週休二日で何するの?どうして営業部がいいの?近くじゃなきゃダメなのはどうして?っていちいち続きが気になる」 「それはそうですけど、それは面接官が聞けばいいだけの話じゃないんですか」 「それはそうかもだけど、その時点で面接官に考えさせちゃってるわけじゃない。次の質問をどうするか」 「掘り下げるのか次の質問に行くのかってことですよね」 「掘り下げるっていうほどのものじゃないよね。誰もが思う疑問っていうかさ。そのあたり、いちいち気にしなくてもいいように一発で答えられたら印象はいいよね」 「それが付け加えの一言だ、と」 「だね。もう一回さっきの質問してよ」 「えっと、当社を希望する理由は?」 「完全週休二日制なのと、残業が少ないことです。会社勤め以外にも、プライベートな時間も充実させたいと思っています」 「希望する業務は?」 「営業部に入りたいです。学生時代、人と関わる経験を多く積んできたので、それを活かせればと思っています」
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