第一幕 とある就活中の女子大生

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「なんだろ、印象がいい、面接がしやすい……」 「その面接がしやすいってのが肝だな。ただ、今のは面接する側の目線だよね」 「する側……ということはされる側……される側ってつまり私たち……うーん、なんだろう。ただ単に自分でも話しやすいってだけじゃないですよねぇ、そんなんじゃ問題にならない」 「はっはっは、いいねぇいいねぇ。そうやって考えることはとってもいいことだ」 「でもわからない!悔しいけどギブアップです。受ける側のメリットってことですよね」 「その通り。もちろん自分の気持ちを話すわけだから、台本を読むみたいな硬さはなく話しやすいのはある。でもそれより大事なのはその先の展開だ」 「展開?えっと……」 「自分のフィールドに持っていくのさ。例えばさっきの週休二日の話なら、次に聞かれるとしたら休日の過ごし方以外はないよね。つまり趣味の類の話だ」 「そうですね、要するに、自分の話したい方向にもって行けるってこと?」 「その通り。嫌な言い方をすれば誘導だ。面接を受ける側だって、自分を売り込みに行くわけだから、したくもない話やよくわからない話をするのなんて御免だろう?」 「次の会話の種をまくってことですね。こう言えばこう返してくるだろう、的な」
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