第一幕 とある就活中の女子大生

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「やっぱり現職の人に話を聞くのが一番有効だと思います。生の声と言うか、本当の姿を知っているはずだし」 「そうだねぇ。ま、現職の人が知っていることも本当の姿とは限らないけど」 「でもそれを言ったらさすがに話が進みませんよ。だから問題は聞き方ですよね。ブラックですかじゃストレートだから、間接的にうかがえるような……」 「今はなんて聞いたらいいか、を考えてるのかな」 「え、そうですけど、違います?」 「いいや、それはそれで必要だね。さっきの面接術の話の応用だけど、聞かれる側の目線に立ってごらん」 「自分が社員で、就活生に聞かれるとして……ってことですよね。ブラックですか?ってストレートに聞かれたくはないですよね」 「気持ちはわからなくもないけど、なんか他にもっと聞き方ないのかいって思うね」 「ですよね……。うーん、今の仕事に満足してますか、とか」 「最初のよりはいいけど、まだ弱いね。それじゃただ単に業務内容に関わる話だけになりそうだし、少し上から目線な気もする」 「知りたいのは職場環境というか働きやすさだから、だったらこの会社は働いてて楽しいですか、のほうがしっくりくるか」 「そうだね。そっちのほうが答えやすいし」
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