第一幕 とある就活中の女子大生

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「さっきのほら、ブラックかどうかもやっぱり気にするでしょ?変な話、給料とか残業の有無とか、週休二日あるのかとかよりも大事なんじゃない?」 「少なくとも私は気にしますね。周りには給料さえよければ、って人もいますし、しっかり休みが欲しいって人もいますし、とにかくやりがいだけは譲れないって人もいますし」 「だろうねぇ。で、そんな私は何を重要視してるの?」 「私ですか?そうですね、もちろん何でもいいってわけじゃないので、やりたい仕事ができるところがいいなっていうのと、あとは人間関係というか職場環境というか、仕事のこと以外であんまり悩むことなく過ごせたらいいなぁって。…って、抽象的ですけど」 「でも、その言葉では表しにくい部分がきっと大切なんだよね。だからこそ会社選びも難しくなるわけだけど」 「そこですよね、だから結局さっきの……あ!あのコンビニの前で止まってください!」 「おっと、もう着きますか」 「コンビニによって帰ろうかなって。あの店からは歩いてすぐなんで」 「はい、では着きましたよ。ところで、さっきは何を言いかけたんですか?」
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