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劇場版とあるポメラニアンの憂鬱『綺羅の消失』
朝、雨音で目が覚める。僕はいつものように小さな窓のカーテンを開け、ベッドから降りて一階の洗面台まで行き、歯を磨いた後に洗面する。
両親と弟と妹は、昨夜から別荘に向かっている。すると誰が綺羅の面倒を見るかというと、つまり僕である。
昨日まで大学のサッカー部の練習があって疲れているので、僕は別荘には行かないことにしたのだ。綺羅を、動物ホテルに預ける手間も省ける。
綺羅は、犬のくせに一つ部屋を与えられている。その部屋はエアコン、犬用のふかふかなベッド、遊び道具の豚の人形などなどが完備され、とっても贅沢だ。
「綺羅~、今日は二人っきりだぞ」と言いながら、僕は部屋を開けた。
しかし、
「あれ?」
綺羅は?
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