僕は友達がいない

選択肢は選び放題

「弁護士さんにお医者さん。
　公認会計士に行政書士。
　歯医者さんに薬剤師。
　経営者に新聞記者。
　営業に企画開発。
　システムエンジニアにプログラマー。
　国家公務員に政治家。

　他にもいろんなお仕事があるわ。

　大丈夫。
　秀輝(ひでき)ちゃんだったら、何にでもなれるわ」

　ママは言った。
　だから僕は勉強を頑張った。

　パパはお金持ちだった。
　僕の成績を伸ばすため、有名な塾にも入れてくれた。
　講師はＴ大やW大、K大の先生ばかりだった。
　通信教育で勉強もしていた。
　現役T大生の家庭教師も来てくれた。
　勉強のための参考書も、惜しまず買ってくれる。

　僕のパパはお金持ちだから、それが普通だった。

　だから友達がいなくても良かった。

　勉強は僕の支えで、勉強がすべて。
　勉強が僕の友達、だから、いい。