セミの声

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 次の日、アリに運ばれるセミがいた。  母が言うには、まだ生きていたそうだ。  私はそれを見なかった。  その状態を説明する母の声を聞いただけで、確認をしようとは思わなかった。  家の中は人のテリトリーだが、外は違う。  人智が及ばない場所。人間が何でもできると思っているのは、ただの傲慢なのかもしれない。それを思い知らされたくなかったのかもしれない。
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