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第1章 再会
どこからともなく春の息吹が漂ってくる。
まもなく新生活が始まる季節となった。
数週間前に150名の卒業生を見送ったばかりだ。
この時期の学校はどこも忙しない。
山中楓(やまなか かえで)は、これから押し寄せる仕事の山を想像すると、憂鬱な気持ちになった。
「来年度うちに来る新任の先生の研修会が13時30分から行われます。研修会担当の先生は準備をお願いします。それ以外の先生方は、新年度に向けて学年ごと準備を進めてください。来週の月曜日までに、生徒のクラス決めて、オリエンテーションの内容はある程度確定させてください」
楓が勤務する海風高等学校は8時に朝礼が始まる。
校舎は5階建てで、他の私立の高校にしては大きな方だ。
スポーツに勉強にとどちらにも力を入れており、この辺りの私立高校の中では人気も高く、一学年8クラスもある生徒数も多いのが特徴である。
春休みであるこの時期は、部活生以外の生徒はいないため、職員室のある2階を除いては比較的静かなものである。
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