第1章 再会

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「山中先生、この資料学年会議で使うから、8人分印刷しておいて」 学年主任の金井。シックなネクタイできめて、威厳たっぷりの彼は、高校3年間の楓の担任でもあった。 昔は「山中」と呼ばれていたため、初めは金井から「先生」と呼ばれることに違和感を感じていたが、4年も経つと慣れてしまった。 金井と会話をするたびに、昔の出来事が頭をよぎる。 もちろん怒られた記憶もあるが、今となってはそれもいい思い出だ。 「楓のところは?10時から会議?こっちは9時からだって。長引きそうで嫌になっちゃう」 楓に話しかけてきたのは、同期の佐藤翔子(さとう しょうこ)だ。
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