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家に戻ってすぐ、俺は風呂に入ろうと決めたところで床に転がっている人物に目を向ける。
……やべ、さっきのことですっかりコイツと喧嘩してたこと忘れてたわ。
コイツ、すーぐいろんなところで寝っ転がるからなぁ。俺が家出た後も暴れてたのか? ってくらい部屋が荒れてやがる。
仕方ない。コイツ、寝起き悪いけど運ぶのも面倒くさいし、体を揺さぶって起こすことを決めた。
…ったく、よく見れば見るほど暴れ過ぎだろ……花瓶とか割れちゃってんじゃん……。
あーあ、血とかついちゃってるし……。
つーか、寒いのによく廊下で寝てられんなぁ。冷えちゃってんじゃん。
「おい、アキ。邪魔だ。どけ。起きろ」
俺の恋人──アキを蹴り上げるが、アキはぐっすり眠っているようでうんともすんとも言わない。
全く、寝顔だけは大人しくて可愛いんだけどな。いざ口を開くと憎まれ口ばっか。
でも、怖い思いをした今だから分かるけど、お前のそんなとこも好きだよ。
「──“秋彦”」
名前を呼んで揺すってみてもなかなか起きる気配はない。
うーん、どうしたもんかねぇ。別に運んでやっても良いんだけど、俺もうさっきのことで完全に気も力も抜けちゃってるから力入んないぜ?
あ。違うわ。
完全に忘れてた。
俺、今日から殺人犯だったわ。
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